幹事 根本昌廣(立正佼成会)
「アフリカへ毛布をおくる運動」の取り組みが、今年の収集キャンペーンをもって終了することになりました。
この運動は、飢餓に苦しむアフリカの人々を救済するために1984年に始まりました。これまでの38年間、運動に賛同してくださるボランティアの皆さまの地道な啓発活動によって、個人や企業、地域社会の協力を頂き、420万枚を超える毛布をエチオピアやモザンビークなど27カ国に届け、貧困や病に苦しむ人々に手渡すことができました。日本からの毛布が、アフリカの人々のいのちを守り、家族の未来をつなぐという大切な役割を担えたのも、皆さまが世界の各地で貧困や紛争にあえぐ人々の痛みや苦しみに共感し、「世界のみんなが幸せになってほしい」という切なる祈りの中で運動に尽力してくださったおかげさまです。同運動推進委員会(JBAC)の幹事として、また、運動に携わる同志の一人として、改めて感謝申し上げます。
ボランティアの皆さまの中には、十年、二十年と継続して運動に取り組まれた方もおられます。長年の活動によって行政やNGOと関係を深め、地域を巻き込んで大々的な広報や収集活動を行えるようになった事例もあります。地道な協力の呼びかけによって地域で取り組みが定着し、毎年何百枚と毛布を提供してくださる方が現れたという話も伺っています。取り組みを通して語り尽くせないほどの温かいふれ合いや喜びの体験があったのはもちろん、この取り組みは参画する一人ひとりの中に他者を思う心を育み、人さまの幸せのために行動できる自分になっていくきっかけを与えてくれてきました。
「これからもアフリカに毛布を」という思いは、運動に携わってきた全ての人、そして毛布を受け取る現地の人々に共通したものでしょう。しかし、時代の変化に伴うさまざまな要因が重なり、取り組みに幕を下ろすことになりました。ですが、これで終わりではありません。
アフリカでは今も1日1ドル以下で生活する人が全人口の40%を占めています。長年続いた内戦の終息や民主的選挙の実施など平和と安定に向けた動きがある一方、一昨年から続くエチオピア・ティグレ州の軍事衝突などを見ても、未だ紛争の火種がくすぶっている地域が多いのも事実です。加えて、環境破壊や自然災害、新型コロナウイルスの感染拡大など、人々の生活を脅かす課題は山積しています。現在の世界情勢やアフリカの抱える課題に沿った新たな支援の形を、長年毛布の取り組みに携わってきた皆さまの経験と智慧を結集して、見つけていきたいと願っています。
コロナ禍の影響で、最後のキャンペーンも、仲間と集えない、対面での声かけができない状況下での実施となります。難しい条件や制約の中で工夫しながら本気になって取り組むことで、必ず良いアイデアがひらめくと確信しています。運動に携わる皆さまの中にも「毛布一筋」と言われる方々がいると思います。そうした経験豊富な世代と、若い世代が力を合わせれば、これからのアフリカの人々との協力の形が必ず見えてくるはずです。私も「毛布一筋」の壮年として、青年たちと本気になって「アフリカへ毛布をおくる運動」のラストイヤーを駆け抜けたいと思います。